お姉さんの部屋は、階段そばのところらしい。

お母さんの寝室は1階だから、お母さんとは階段のところで別れる。

その時に『襲われないように鍵かけて寝るのよー』と笑顔で言われてしまった。


襲われないようにって……ユージはお母さんの息子なのに、なんだか楽しんで言ってるような……。




ゴホン。

まぁ、兎にも角にも。


トイレとお風呂以外では、初となる一人きりだ。




「わぁ」




ユージのお姉さんの部屋は、すっごく女の子らしい。

クマのぬいぐるみが好きなようで、大きいのから小さいのまで、たくさん置いてある。




「ベッドだー。 自由だー」




誰にも見られないという安心から、ベッドの上をゴロゴロと転がる。

私のベッドよりも柔らかくて、お布団もふかふかだ。

エアコンの設定もちょうどよく、優しい風が心地いい。




「……疲れたなぁ」




家に引きこもっている私からすれば、今日はかなりの距離を歩いた。

ユージの家に来てからは、やっぱり気を遣っていたし……。


こうやって一人になったら、ドッと疲れが出てきた。

なんだか、今すぐにでも寝ちゃいそう……。










♪~♪~♪~


「……っ……!!」




……だけどその眠気を吹っ飛ばしたのは、1本の電話だった。






【沢口 晋也】





フジヤマからの、電話だ。