けれど、幾ら待ってもその瞬間が訪れることはなかった。 あるのは、誰かが私の腕を強く引っ張った温かなぬくもりと、先程まで両腕で支えていた資料の山が軽くなったのだ。 あれ? ……なんで!? 不思議に感じ、恐る恐る瞑っていた両目を開けてみると。 そこには、先程まで私が抱えていた資料の山を軽々と持ち上げた北見時雨が立っていた。