「そういえば、北見くん。
さっきはなんであんなに不機嫌だったの?」


抱きしめられたまま彼を見上げる。



「あぁ。あれは、椿があんな重たい資料を運ぶのに俺を頼ってくれなかったから…」



ちょっと拗ねたようにそう言う彼が凄く可愛かった。




「…てか、椿。さっきから俺のこと、あなたとか北見くんとか。
彼氏なんだから下の名前で呼んで欲しいんですけど…」




『彼氏』




その響きに、ドキドキしてなんだかこそばゆかった。