「椿、顔をあげて」 彼が顔を覆ったままの私の両手をそこから離そうとする。 自分の発言が恥ずかしすぎて顔を上げられない私は、 首を左右に振って、それを抵抗するしかなかった。 でも、彼の手によってあっけなく解かれてしまったその両手は、 真っ赤になっているであろう私の顔を隠す役目を果たさなくなった。 「…っ…」 「俺の顔をみて」 彼が真剣な眼差しで覗き込んでくる。