ぎゅっと何かに包まれた。

思わず顔を逸らすと、
そこにはさっきまで下に居たはずの大嶋君の顔があった。


「お、しまく」


その口から言葉が紡がれる前に、
大嶋君の唇によって、塞がれた。

今までで、1番温かいキスだった。


「…芽依ちゃんは?」


思い切って聞いてみた。


「芽依はあくまで幼馴染だ。
それ以上のなんでもない。
俺には、夏実がいる。夏実だけなんだ」



柄にもなく、ボロボロと涙が零れた。


なんてわたしは単純なんだろう。

大嶋君の言葉ひとつでこんなにも、

わたしが崩れていく。