「ええなあー、柴くんカッコイイし、授業もわかりやすいって、絶対モテてるで、あれ」
「どうやろなァ。そうなんかも」
さきほど、意味ありげな顔をして去っていった大柴の背中を思い出す。
生徒となぜか一緒に受けていた身体検査の結果によると、身長182センチ、体重68キロ、ウエスト76センチ。
ショートヘアのビジネスウルフカットは、毛先にパーマを当てているらしく、ぴょんぴょん跳ねている。
もちろん、本人はそれがおしゃれだと思っているらしい。
傍から見たらそれがただの寝癖にしか見えないのは内緒だ。
前髪はちょうど眉が隠れるくらいに切り揃えられているが、邪魔なのかいつもヘアピンで七三分けされている。女子ウケがよく、すれ違うたびに「柴くん可愛い」という黄色い悲鳴を、たぶん一日に百回は浴びていると思う。
黒縁のメガネがキーアイテムだ。
奥二重なのだが、黒目が大きなせいで愛嬌があって、その目が微笑むと半径5m以内に居る女子はノックアウトの対象だ。
もちろん本人に自覚はない。
外国人顔負けの高い鼻にかかったメガネを押し上げて、授業を進める手はごつごつしている割に細く、指を鳴らしたら折れそうだ。
ジョニーズ系とはまた違う、少し渋さを兼ね揃えたイケメンの大柴涼汰は、学校一の人気を誇る教師だった。
真奈美がバックヤードから持ってきた箒の柄にまたがりながら、話を進める。
