アブナイ教師の愛玩×彼女




担当教科は簿記会計の大柴は、とにかく授業が面白い。


『はい、問題です。先生は今日ボーナスを現金で百万もらいました。結構な大金にうはうはしてると、いつぞやに注文していた文具が届いたので、引換証と引き換えに文具を引き取りました。その時に発生した手数料一万五百円をなんで払わなあかんねんと思いつつ支払いを済ませました。でも現金で払うのはなんだか格好悪いので、小切手を使って払ってみました。俺ってカッコイイという雰囲気を醸し出しながら今言った取引の仕訳をしなさい』



「俺ってカッコイイという雰囲気を醸し出しながら」という時点でまず意味がわからない。

しかもボーナスが現金手渡しなところがそもそも有り得ない設定だ。


しかし、こういった応用問題を出すことによって基礎基本をもう一度学べるし、とても為になっている。


授業開始時間から十分の間に小問題を大柴は必ず出題する。


ちゃんと答え合わせもして、生徒からの理解を得てから本授業に入る。


そのおかげか、2年の冬に行われた簿記実務検定会計部門で、晴れて1級を取得することができた。



(もうひとつ、原価計算部門があるのだけれど、それは難なくクリアできるくらい簡単だ)



わたしはどちらかというと、仕訳よりも、大問4の決算でつまずいていたけれど。



とにかく、大柴の授業のやり方は、ほかの先生と比べると格段にわかりやすいし、生徒目線ということもあって、皆から好かれていた。


それこそ、担当クラスでない生徒からも、簿記に関する質問を受けるようで、職員室の彼の机の周りには、いつも生徒で溢れかえっている。