大柴がわたしの髪の毛に触れてから、やたらとスキンシップが激しくなった気がする。
と、いうより、会話の糸口が見つかって、馬鹿の一つ覚えみたいに話しかけてくるようになった。
日直に当たっていたわたしは、日誌をせっせと書いていた。
生徒は部活道に励む放課後、教室にはわたしと、担任の大柴しかいない。
なんとなく気まずい雰囲気を先に打破したのは、大柴のほうだった。
書き終えた日誌を彼に直接手渡す。
「おっ、今日は爆発しとらんな」
「柴くん空見て。雲一つないピーカンや」
「ほんまやなァ。ええ天気やなァ」
二人して窓越しに空を見上げる。
太陽の光がわたしの髪を照らして、アッシュベージュ色を、一層際立たせた。
大柴がゆるくうねった髪をひと束掴んで「やっぱり明るいわー」とぼやく。
きっと、生徒指導としての立場から言っているのだろうが、暗く染めるつもりはない。
今の色が気に入っているのだ。
大柴の手がいたずらに、髪の毛を弄る。
彼の大きな手が後頭部を包んで、あまりの気持ちよさに目をつむると、くすっと笑い声が聞こえてきた。
「小西、飼い主に撫でられながら日向ぼっこしてる猫みたいやで」
「柴くんが飼い主かぁ、それもええかもなぁ」
縁側に腰掛ける大柴の膝の上を占領して、毛を梳いてもらう。
そんな場面を想像して、そんな生活もいいと思った。
イケメンが世話をしてくれるのだ。
何も言わなくてもご飯を用意してくれて、水を与えてくれて、用がなければほうっておいてくれる。
たまに遊んでもらってストレス発散。
