アブナイ教師の愛玩×彼女




怒りを顕に、担任に向かってそう怒鳴りつけるも、彼はへらへらと笑ってわたしの手から出席簿を取り上げた。



「ちっちゃい女の子って、俺、タイプやで」


得意の微笑み全開攻撃に、ほのかを始めとして複数の女子が黄色い悲鳴をあげる。


あからさまに男子が嫌な顔をして大柴を睨みつけた。


一方の私は、女子の中でも平均身長、むしろ高いほうだと思っていたから、小さいと言われて少しばかり悔しくなる。


思えば、母の161センチという壁にもぶつかって負けているのだ。


いくら大柴のタイプだからといって、嬉しくないわけじゃないが、どこか腑に落ちない。


憮然と頬を膨らませていると、大柴はわたしの頭にポン、と手を置くと身を屈ませて、そっと耳元で囁く。



「もちろん、タイプって、小西さんのことやけどな」


「えっ」



聞き返すより早く、HR開始のチャイムが校内に鳴り響く。



大柴はサッとわたしから離れると、教壇に立って、未だざわめく教室にテナーの声を充満させた。



「出席取るぞー、座れー。小西も突ったっとらんとはよ座れ」


「い、言われんでも座るわ!」



ざわめきとどよめきと笑いが混じった生徒の声が耳に届いて、慌てて音を鳴らしながら席に着く。


背中をつつかれて振り向くと、ほのかが怪訝そうにわたしの顔を覗き込んだ。





「なァ、なんて言うたん? 柴くん。いじめられてないよな? ……なんか自分、顔赤いで、熱?」


「そんなんちゃうよ、大丈夫」




変なこと言われてへんから、と、言おうとして、あれはじゅうぶんに変なことではないか? と思い直して、口をつぐんだ。

自分でも熱いと感じるほどに赤くなっているだろう頬に両手をあてる。

どきどきと心臓がうるさい。


なんとも言えない気持ちが心の中を渦巻いていく。


誰にも見られたくなくて、わたしはできるだけちっちゃくなって、HRの時間を過ごした。