「明日、雨やって。環の不機嫌さマックスが見れる貴重な日やで」
「からかわんといて。嫌いになるで。……明日雨ってほんま?」
真奈美がこくん、と頷く。
自然とわたしの口からは、大きな溜息が漏れた。
ずっと伸ばし続けてきた髪の毛は、今や腰のラインまで到達し、それだけなら良いのだがありがたいことに天然パーマが髪の毛をうねらせているので、雨の日はそれが爆発してまったくまとまらなくなるのだ。
わたしは雨の日が嫌いだった。
真奈美は、普段怒っていても、焦っていても、テンパっていても顔には決して出さないわたしの態度が一変するのが面白いらしく、雨の日にバイトがあると決まってこう言う。
『ご機嫌ナナメってる?』
余計なお世話だ。
「あ、もうすぐあがりの時間やん。早いなー、もう22時やって」
「宿題やってへんわ……」
「あっ……」
真奈美が絶望だ、と呟いた。
彼女は、バイトがある日でも23時には全てを終わらせて就寝しているようだから、宿題という思わぬ敵に遭遇してしまって、顔が青ざめている。
(早くお布団に包まれたい……宿題、明日の朝やろうかな……)
しかし、朝も早くに起きた試しがないために、その案はすぐに脳が却下というジャッジがくだされた。
宿題を出さなかったら、きっと担任の耳にそれが届く。
大柴は、宿題に関しては厳しいのだ。
