アメリカ社会のように階層は二極化され、下層階級の若者が自らの生まれた環境を抜け出し上の階層に上がるのは難しくなった。一億総中流時代というのはもはや過去の話である。そのような社会の中で生まれたのが、玉の輿を狙う少女の学校、カメリア女学園である。この学校には中等部からも高等部からも入学することができる。関東近郊出身の生徒も地方から来た生徒も敷地内にある女子寮に住まなければならない。

 入学の第一の基準はなんといっても容姿である。なにしろエグゼクティブの花嫁を育成する機関なので、生徒の容姿は端麗でなくてはならない。毎年、タレントオーディションの出場者かと見まがうほどの美少女たちが同校の入学試験に挑んでいる。その倍率は二十倍を超える。その人気の高さから、全国各地に受験予備校なるものが現れるくらいだ。

 知的職業に就くエリートの妻になるのだから、生徒は容姿だけでなく頭もそれなりに良くなくてはならない。いくら容姿が良くても、学力が低かったり面接での受け答えがしっかりできなかったりする少女は入学試験を突破できない。