この学園の実態は人々の口頭によってのみ語られ、噂を聞きつけた低所得の家庭が、我が娘の成功を願って学園に子どもを託すのだろう。普通の学校の募集要項とは違って、この学園のそれには明確な応募条件が提示されているわけではない。インターネットという公の場で本来の教育目的を明らかにしたら問題になるからだろう。どこかアンダーグラウンドの香りがする学園だ。

 地図検索機能で学園の所在地を検索すると、東京都下のある町にそれは存在していた。スミレちゃんの住む女子寮も同じ敷地の中か学校の近くにあるのだろう。検索サイトの小窓に「カメリア女学園学生寮」とか「カメリア女子短期大学寮」と打ち込んで検索してみるが、それらしき場所は出てこない。おそらく防犯上の理由から、うら若き乙女たちの住所は伏せられているのだろう。ただでさえも女子学生というのは不審者につきまとわれやすい存在である。スミレちゃんと面識のない志穂美がいきなり彼女に会いにいっても、学校側から門前払いを食らう可能性が高い。学校の近くで待ち伏せなんかしようものなら、いくら女の自分でも怪しまれてしまうだろう。さて、どうしたものか。