今日はいつもより涼しい。
太陽の光が木々に反射してまぶしい・・・。
良い天気だ。

今日は理央と下校。
今日は花音ちゃんと合わなかった。と言うより会えなかった。顔を合わせられない。
光とも、会ってない。

そして、さっきから沈黙が続いている。
なかなか話すことが出来ない。
理央!なんかしゃべってよ!気まずいじゃんか!

あ――!

「ねえ、理央。」

「ん?」

「昨日は聞きそびれちゃったんだけど、どうして光に盗聴器なんて仕掛けられたの?」

「え・・・。」

「いつ仕掛けたの?」

理央が気まずそうな顔をする。
モット気になる。

「あー。アレ?」

「・・・。」

「怒んなよ?」

「そうゆう内容なワケ?」

「いや、人によっては・・・。」

「まあいいよ。話して?」

「・・・。実はな?」

「うん・・・?」

理央の声は冷静。だが、どこかぎこちない。
やっぱり、今日は良い天気だ。

しかし、天気とアタシの機嫌は全くといっていいほど関係ない。

「光と理央がグルだったぁ~!?」

「ま・・・。」

理央が『まあな。』言ってしまわない内にアタシは――!

「じゃあ、アタシの演技、意味なかったのぉ!?」

「ごめ・・・。」

「アタシの罪悪感はなんだったのお!?」

「わり・・・。」

「アタシをだましたのお!?」

「いや、そうゆうわけじゃ・・・。」

いま、アタシは超不機嫌。
だまされた。
無駄なことさせられたんだ。

「違うって。」

「なにがよ。」

「お前は、花音の告白についてくつもりだったんだろ?」

「だからなによ。」

「万が一、光が俺についてきてんのをお前が見つけたら、お前どうする?」

「そんなの・・・。」

「花音に忠告するだろ?告白みられたら、光に告れなくなる。失礼になる。って。」

「そうだけど・・・。」

「俺にはそれが邪魔だったんだ。」

今言われてみれば、そうかもしれない。

「でも、だとしても、グルだってことぐらい教えてくれたっていいじゃんか。」

「そしたら、お前大根演技をおっぱじめるだろ?」

「・・・。」

「だから、教えたうえで花音と出くわすのはマズイ。火曜に花音と登校させるのもできれば
 さけたかったが、そしたら逆に不自然。」

「そっか。」

理央の頭って、驚くほど先をよんでるな。

「でも、理央はカノちゃんの告白、どうしてOKしなかったの?」

「それは、光が・・・。」

「わかってるけど。他に、理由ないの?」

爽やかな風が体をすり抜けていく。
太陽の日差しがまぶしい。
でも、理央の声はしっかり。

しっかりと聞こえている――。


「俺は咲来が好きだし。」



気が付けば、ここはあの日の神社の前。

ここでアタシは理央にときめいていた。

アタシ達は両想いだったんだ。