「この国の女王は、とても素敵な方なんだね」
「――」
「こんなにも、美しい国を治めているのだから」
ゆっくりと視線を彼女から、溢れる緑に映す
見た事もないほど、眩い世界を見て
心から、そう思う
その国の王は、国そのものを表すと聞いた事がある
ならば、この美しい国を造った女王はきっと素晴らしい方だろう
俺の言葉を聞いて、ゆっくりと閉じていた瞳を開いたグレイス
しかし、その瞳を開けた時には
その表情は変わっていた
どこか、悲しみに満ちた――顔
「女王は..月の様な御方です。暗闇の中でも輝き続ける――満月の様な御方」
「――」
「しかし...その輝きは今、雲に覆われています」
小さくそう言って、瞳を伏せてから外の景色に目を移したグレイス
悲しみに満ちた瞳で、目を細めた



