My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ



「女王陛下のお心に沿ったまでです」

「――女王..陛下?」



真っ直ぐに伸びた、その声が鼓膜を震わす

ゆっくりと俺達から距離を取って、柱の向こうに広がる緑を見つめる彼女




「この国のすべてです――この国を司る。御方」

「――」

「女王は、あなた方を助けました――だから助けます」




音も無く振り返り、俺の目を見つめて静かにそう言ったグレイス

その言葉に、何か強い意志がこもっている




「――命をかけて」




最後にそう言って、ゆっくり瞳を閉じ

身にまとう衣の裾を持ち上げたグレイス



そして、まるで忠誠を誓うかの様に

小さく膝を折った