ゆっくりと、父の顔を見つめながら立ち上がった そんな俺の姿をグレイスは視線だけで追う 茶色の大きな瞳が、瞬きもせずに俺を映す まるで、俺を探る様に その姿を横目に、視線を外に向ける ここは俺がいた部屋と同じで外の世界と遮る物がない 白い柱の向こうには、緑が溢れている その美しい景色が心を落ち着かせてくれる 「ありがとう。助けてくれて」 今度は、グレイスの目を見ながらそう言う すると、父の頬に添えていた手をゆっくり離したグレイス そして、じっと俺の目を見て言った