My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ



ゆっくりと、父の顔を見つめながら立ち上がった



そんな俺の姿をグレイスは視線だけで追う

茶色の大きな瞳が、瞬きもせずに俺を映す



まるで、俺を探る様に




その姿を横目に、視線を外に向ける

ここは俺がいた部屋と同じで外の世界と遮る物がない



白い柱の向こうには、緑が溢れている

その美しい景色が心を落ち着かせてくれる





「ありがとう。助けてくれて」




今度は、グレイスの目を見ながらそう言う



すると、父の頬に添えていた手をゆっくり離したグレイス

そして、じっと俺の目を見て言った