「――そう..か」
その言葉に嘘がないと分かった瞬間
そんな言葉が力なく落ちた
「えぇ・・・」
「あの怪我だ...無理もない」
あの時の父の出血は尋常じゃなかった
冷静に考えれば分かる事
今、生きている事すら奇跡に近い
「――ありがとう」
「――」
「父を救ってくれて」
最後にギュッと父の手を握りしめてから、再び布団の中に、その手を戻す
瞳を閉じたままの父を見下ろして、ぐっと一度拳を握った
物音ひとつしない静寂の中で微かに聞こえる父の呼吸の音
その音を確認して、少しだけ握っていた拳を緩めた
生きてる―――
父はちゃんと、生きてる



