My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ



思わずその姿に見惚れていると、ゆっくり瞳を開けたグレイス

そして




「ただ...意識はまだ戻らないと」

「――意識が...戻らない?」




彼女の言葉にガツンと頭を殴られた様な衝撃を受ける



意識が戻らないって...どういう?




「言葉のままです。命は取り戻しても、その瞳を開けるのは――明日か..明後日か..一年後か」

「――嘘だろ..」

「もう私は、あなた様に嘘は申しません」




真っ直ぐに俺を見て、そう言うグレイス

ブラウンの瞳が揺れる事なく、俺を見つめている




その強い眼差しに

嘘はなかった