訳が分からず言葉を無くす俺に、今にも消えそうな声で逃げろと言い続ける父 そんな中でも咽返っては血を吐く父を見て、急いで止血しようとした その時―― 「――っ!」 一瞬風が吹いたと思ったら、辺り一面霧に覆われた 緑に溢れていた世界が、一気に白の世界に変わる 身の危険を感じて、途端に勢いよく剣を抜いた 何だ? どうなってる 「誰だっ!」 ドクドクと暴れる心臓の下で、人の気配を感じてそう叫ぶ すると 「ここが安全だと、何故そう思う」 霧の中から突然聞こえた声 低く、透明なその声