My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ



バタバタと倒れていく人影に比例する様に、また新たな影が現れ絶え間なく襲ってくる

暗闇でどれくらい敵がいるのか分からない

それでも、きっと30人以上はいるはずだ



――きりがない




「父さん! 分が悪い!! 逃げよう!!」

「アレン!! ダメだ!! 囲まれている!!」




罵声の中で聞こえる父さんの声を聞いて、もう一度辺りを見渡す

すると、先ほどより多くの影が俺達を囲むのが見えた

まるで退路を断つ様に――



その様子を見て、舌打ちをする




クソッ

これじゃぁ、逃げる事もできない