「そうだね。今日はここで野宿を」 「あぁ。そうしよう」 頷き合ってから、お互い目ぼしい場所を探す しばらく辺りを見渡していると、少し離れた場所に大きな岩があるのを見つけた そこへ馬を連れて行き、火を焚く 何もない世界に、ぼんやりと明かりが灯り 心が温かくなる 「今日の夜には川に着くはずだったが、道を間違えたか?」 「そんなはずないよ。明日もう少し進んでみよう」 火を囲んで座り込んだ父が、顎髭を触りながら、首を傾げてそう言う 温かい光に照らされた父の顔に、少し疲れの色が見えた