My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ



騎士達に取り囲まれたガスパルも剣を振り上げたまま、動きを止める

まるで魔法にでも、かかった様に――



辺りの民達も水を打ったように、静まり返る



俺も無意識に足を止めていた

ポタポタと剣先から赤が滴り落ちる




「――」



小さくホリスが何かを囁いている

それでも、その声は俺達には聞こえない



すると、その後ろにいたソフィアがゆっくりと

その顔を覆っていたフードに手をかけた



その瞬間、ハラリと落ちる

美しい金の髪


その瞬間、周りが息を飲む



その姿に―――