My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ



一気に目の前に赤が散って、ぬるりとした感触が頬を舐める



次の瞬間、ドサリと先程まで剣を交えていた男が大きな体を地面に崩して

そして動かなくなった





「おっおのれ!!」



倒れ込んだ男の影から、もう1人の男が斬りかかってくる

その姿を見て、ぐっと手足に力を入れて飛び出した



甲高い金属音が耳に届く

ガチガチと剣が揺れる




「貴様何者だぁ!? ここの民じゃねぇなぁ!?」



ギラギラした目を俺に向けて叫ぶガスパルの残党

もはや人を斬らないといられない狂気に満ちた目だ