My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ



「ダメだ! 来るなっ!!」




その姿を見て、大声でその女性を制する

すると、近くにいた民が俺の声を聞いて母親とみられるその女性の腕を取った


それでも涙を浮かべた女性は、こっちに向かって手を伸ばし、この子の名を叫んでいる





「おぉ~おぉ~母親の登場かぁ?」




そんな姿を見て、舌なめずりして楽しそうにゲラゲラと笑うガスパルの残党

そして、回りを囲む様にして立つ民を見渡した




けん制し合うように、見つ合うガスパルと民達

武器を持たない彼らは、こいつらに手が出せない



それでも

この先には街がある



きっとコイツらをそこにやらない為に

民達はここで騎士達が来るまで奴らを引き留めようとしている



ならば――