「なんだ、起きてたの」
虚ろな目をした父を見て、小さく溜息を吐いて、そう言う
起きているのなら、1人で歩いてほしいもんだ
「あんな所で寝れるわけないだろぉ――それより、よかったのかぁ? あの女は」
「――いいよ。そういうのは、趣味じゃない」
「あははははっ! 趣味じゃないか。我が息子は聖人だな」
俺の淡々とした言葉に、豪快に笑いだした父
その勢いで俺の肩から、ずり落ちそうになる
「起きてるんなら、自分で歩きなよ」
そう言って、豪快に笑った父の腕を離す
一瞬ふらついた父だけど、ヨロヨロと歩いて俺の後を追う
「アレン。もっと恋をしろ」
「やりたくて、やれるもんじゃないだろ」
そう。やりたくて恋ができるわけじゃない
それに、戦に明け暮れる俺には
そんな暇ない



