My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ



「きゃぁっ」




小さな手が俺の手から離れて、その体が地面に勢いよく倒れ込んだ

勢いよく振り返ると、女の子が地面に足を取られて転んでいた

それでも、その姿も人混みの中に一瞬で掻き消される




「ソフィア! ここで待ってろ!」




彼女にそう告げて、急いで駆け寄ろうとするが、人の波に押されて足止めされる




「クソっ」




何度も人にぶつかっては、脅えて地面に座り込む女の子の元まで駆ける

大きな瞳には溢れんばかりの涙が溜まっている




「大丈夫か!? おいで!」



やっとの事で女の子の元へ辿り着き

抱き上げようとした

その時―――