My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ



「ソフィア! 来い!」




未だに動かない彼女に、もう一度強く言ってその腕を引く

すると、観念した様に視線を俺に戻して悔しそうに頷いた彼女





叫び声をあげて走り去る民達

バタバタと並べられた食材が地面に落ちていく



美しかった世界は

もう、そこにはない





「死ねぇぇぇっ!」





遠くの方だった声がさっきよりも大きくなる


マズイ、近い


危機感を憶えながら、後ろを振り向きつつ走り続ける

すると