My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ



「そのゼファーがここ最近力を付けて、多くの国を飲み込んでるのさ」



そう言って、口の端から零れた酒を真っ赤な舌でペロリと舐め取る彼女

そして、大きな瞳で俺をじっと見つめた




「悪い事は言わない。西へ行くのは止めな」

「あぁ。考えてみるよ」




胸の谷間を見せつけながら、面白い玩具でも見る様に俺を見つめる女性

潤った唇をペロリと赤い舌が何度も舐め取る





「あんた、いい男だね」

「――どうかな」

「上に部屋があるんだ。一緒にどうだい?」




甘い声を出して、俺を誘惑する女性

だが、残念ながら――そんな気分じゃない