「ほ..本気で焦ったんだぞ」 「そなたが始めに嘘をついたから悪い」 強ばっていた顔がどんどん緩んでいく ゆっくり弧を描いて、自分の口が三日月形になるのが分かる 「美味しい」 そして銀の箱に残っている果実に手を伸ばして、もう一粒口に含んでそう言った彼女を見て 笑った 心の底から なんだかもう、無性に嬉しくて 彼女とこうやって話せている事が 彼女が一瞬でも笑ってくれた事が とても嬉しかった