「――ソフィア」
そっと、その名を呼ぶ
銀の世界で、静かに柔らかく
その声に反応して、ゆっくりと振り返る彼女
そして目が合った瞬間、たまらずニッコリ微笑んだ
「どうした?」
いつもと少し雰囲気が違っていたのか、彼女が首を傾げて近づいてきた俺に問う
そんな彼女にもう一度、深く微笑んで
隠し持ってきたモノを前に出す
繊細な模様が彫られた、美しい銀の小箱
グレイスが、わざわざ入れてくれた
「これは?」
月明かりに照らされて輝く箱を見て
更に首を傾げるソフィア
そんな俺を見上げる大きな瞳を見て、ニッコリと笑う



