口いっぱいに広がる 甘く、どこか酸味を帯びた果実 「美味しいでしょう?」 モグモグと口を動かす俺を見て、ふふっと微笑んでそう言う彼女に、コクンと頷く 初めて食べたけど 本当に美味しい 緑が沢山あるヴェントスでも こんな美味しい果実はない 「幼い頃は森に流れる川で遊び、いろんな果実を探しては食べて、よく過ごしていました」 満足そうに俺の姿を見て微笑んだグレイスが 懐かしそうに森を眺めて、そう言う 温かい日差しが漏れる森は、本当に美しくて まるで時間が止まっている様だった