My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ








「あぁ~もうダメだ」



真っ赤な顔をした父が、苦しそうに天を仰ぐ

その姿を横目に、ジョッキに残っていた酒を難なく喉に流し込んだ俺




「もう?」

「――酒が強くなったなぁ、アレン」

「国の街で働く男達に比べたら、まだまだだよ」




ボロボロの木のテーブルに突っ伏した父

そして、降参と言わんばかりに両手を上げた姿を見て、思わず笑う




そんな父を横目に、新たに運ばれてきた酒を片手に辺りを見渡す




陽気にテーブルの上で踊る男女

音楽を奏でながら歌う人達

遠くの方では、殴り合って喧嘩をする人も見える




相変わらず、この国は愉快な国だ