My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ



「アレン様が、何をお考えなのか」



顔だけこちらに振り返って、じっと俺を見つめるグレイス

そして、大きな瞳が微かに細めた




「たまに不安になります」

「え・・・」

「あまり、目立った行動は慎みますよう」

「――」

「アレン様の為です」




何も言わない俺に、最後にそう言って

部屋を出ていった彼女




警告に似た言葉の余韻を残して