「た…ただ単純に驚いただけ! じゃぁ・・・いずれグレイスはウィスタリア家の長になるの?」
「―――はい。いずれは」
後ずさりする俺の顔を見て、納得いかない様子だったけど
最後にポツリとそう呟いたグレイス
そして、薄い衣を翻して
再び、活けている最中だった花の元へ向かった
その後ろ姿を見て、これ以上深く追求されなかった事にホッとして、胸を撫で下ろす
すると
「たまに、分からなくなります」
一瞬沈黙が続いた部屋に、グレイスの声が静かに落ちる
活け終わった花をそっと撫でて、その瞳を伏せている
すると、柔らかい風が部屋の中に入ってきて
彼女の絹の様な髪をなびかせる



