―――彼女が何者かは分からない



王家に仕えていると言ってはいたが、それも確かかは分からない


それでも、懸けてみたい


このままただ過ごしていても、国には帰れない

あの風の国には――。



帰りたい

もう一度、あの風と共に生きたい






「――・・・分かった」




しばらくの沈黙の後にそう言った俺に、ふっと瞳を細めた彼女

その姿につられる様にして、俺も微笑む




「約束は、守る。」




最後にそう言って、俺から距離を取った彼女

そして、ゆっくりと先ほどまで座っていた椅子まで歩いてゆく