My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ



「そなたに、頼みがある」

「頼み?」



思ってもみなかった言葉に、思わず首を傾げる

頼み?

この国では何も持たない俺に、頼み?



首を傾げ続ける俺に、彼女は再び驚く事を言った




「剣を教えて欲しい」

「剣を?」

「もっと――強くなりたいのだ」



そう言って、ゆっくりと立ち上がった彼女

白い衣をなびかせて、俺の前で立ち止まった




「代わりに、そなたの望みを叶えてやろう」

「の..ぞみ?」

「――この国から出してやる」




突然放たれた言葉に、目を見開く

想像もしていなかったから