My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ



「――使える。これでも、王国の騎士だったから」



幼い頃から毎日訓練に明け暮れて

物心つく頃から剣を持っていた



――それが当たり前だと思っていた



そして、それがいつかは誇りになり

愛する国を守る事こそが、俺の使命になっていた





「騎士だった・・・」



それでも、自分の口から落ちた言葉に覇気はなかった



――騎士だった。


そう言った自分に、少し悲しく思う

もう戻れない。と諦めている様で



そんな俺の姿を何も言わずに、じっと見つめ続ける彼女

聞こえるのは、水の流れる微かな音だけ



少しの沈黙



じっとお互い見つめ合っている

そんな時、静寂を破ったのは彼女だった