My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ




「そなたも、ウィスタリア家の者か?」



その光景を見て、思わず問いかける

『気』をおくったのだと思ったから



グレイスの話では、その力があるのは

ウィスタリア家だけだと聞いたから




俺の言葉を聞いて、ゆっくりと瞳を開けた彼女

そして、俺の顔をじっと見つめて言葉を落とす




「違う」

「――でも..今」




瞳を揺らす俺を横目に、彼女はゆっくりと再び歩き出す

音もなく、優雅に



その後ろを追う

ただ