「城を頼む」
「承知いたしました」
父の言葉を聞いて、深く頭を下げた女官達
その姿を横目に、再び馬を蹴った
馬の駆ける音が石畳の地面に反響する
時折通り過ぎる侍女や衛兵が頭を下げて、俺達の行く道を開けていく
海から流れてくる強い風が、背中のローブをたなびかせる
少し先を走る父の腰にかかる剣が太陽の光を反射して、キラリと何度も光輝く
春の訪れを感じささる王宮の中庭には、緑が少しづつ芽吹いてきている
俺達が帰る頃には、この庭も花々で溢れている事だろう
そう思うと胸が温かくなって
思わず笑みが零れた
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