「どこで剣を?」
その事を悟られない様に、柔らかく微笑んで、そう問いかける
それでも、一歩も動かずに俺を睨み続ける彼女
その表情を見て、ふっと微かに微笑む
この少しの間で、彼女のあの淡々とした表情は無くなり
少し人間らしさが戻ったように思える
現に今も目の前にいる彼女は
俺の事を睨みつけている
そんな小さな変化すら嬉しくて
笑みが零れる
「たいした腕前だ。早々できるもんじゃない」
何も言わずにいる彼女にそう言う
ゆっくりと足を動かし
転がっていた剣を拾い上げて、腰に戻す
その剣先をなぞっていた彼女の瞳が
再び俺に注がれる



