My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ




「どこで剣を?」



その事を悟られない様に、柔らかく微笑んで、そう問いかける

それでも、一歩も動かずに俺を睨み続ける彼女



その表情を見て、ふっと微かに微笑む



この少しの間で、彼女のあの淡々とした表情は無くなり

少し人間らしさが戻ったように思える



現に今も目の前にいる彼女は

俺の事を睨みつけている



そんな小さな変化すら嬉しくて

笑みが零れる




「たいした腕前だ。早々できるもんじゃない」




何も言わずにいる彼女にそう言う


ゆっくりと足を動かし

転がっていた剣を拾い上げて、腰に戻す



その剣先をなぞっていた彼女の瞳が

再び俺に注がれる