俺の言葉を聞いて、一層瞳の力を強めた彼女
まるで睨む様な鋭い瞳
その表情を見て、もう一度深く笑う
「でも、いい腕はしてる」
息の下で小さく笑った後、剣を花畑に置いて一気に彼女の腕を引いて立ち上がらせる
そんな俺の行動が不意打ちだったのか
彼女は勢いを殺す事なく、俺の胸に飛び込んできた
その瞬間、ふわりと長い髪が宙に弧を描く
羽の様に軽い衣が幾重にも、広がる
その光景に無条件に胸が高鳴った
「――っ!」
それでも、すぐに俺の胸に手をついて距離を取った彼女
その瞬間、ふわりと胸いっぱいに広がる花の香り
その香りに、胸が詰まる
そして一瞬だけだが、胸にあった温もりが消えた事に寂しさが募る



