My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ





「なぜ、来た」





静寂の中に溶け込む

美しい声



俺の鼓膜を通って

心を痛い程震わせる





「――っ」




勢いよく振り返った先にいたのは

あの日と変わらない、彼女の姿



美しい、金と銀の髪

真珠の様に、透き通った肌


そして、暗闇の中でも分かる

宝石の様な瞳


空の水色と

生い茂る青葉の、色――。