カツン―――
静寂の中で、足音が反響して響く
その音さえも美しく響いて
鼓膜を震わせる
銀色に染められた世界は、美しく
昼間とは違った『光の国』となる
辺りに人は、いない―――
足音を立てない様に、駆けていく
背に広がるローブが静寂の中ではためく
「階段だ」
以前迷い込んだ、あの螺旋階段の前で立ち止まる
人、1人入るのがやっとの小さな階段
あの花畑へと繋がっている――
彼女が、またあそこにいるとは限らない
それでも、あの場所しか
俺の待つ場所はない
ぐっと拳を握りしめて
階段を駆け上がった
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