My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ




「――彼女も、見ているのだろうか」



この月を。



あの日見た髪と同じ色の月

黄金に輝く、その美しい髪

まるで女神の様に神々しく

俺の思考を一瞬で支配した



それでも―――



雪の様な人、だと思う

まるで雪の結晶の様な、人だと



雪の様に音もなく、この地に立ち

美しく煌めく


それでも、その体に触れると溶けてなくなってしまいそうな

そんな危うさを持った、人だった



それでも、その愁いを帯びた姿が美しくて

俺の胸を掻き立てた