「――彼女も、見ているのだろうか」 この月を。 あの日見た髪と同じ色の月 黄金に輝く、その美しい髪 まるで女神の様に神々しく 俺の思考を一瞬で支配した それでも――― 雪の様な人、だと思う まるで雪の結晶の様な、人だと 雪の様に音もなく、この地に立ち 美しく煌めく それでも、その体に触れると溶けてなくなってしまいそうな そんな危うさを持った、人だった それでも、その愁いを帯びた姿が美しくて 俺の胸を掻き立てた