「ゲル様、アレン様」
王宮の側を駆けていると、俺達の姿を見つけた女官に声をかけられ馬を止める
そんな俺達に深く一度頭を下げる彼女達
「お仕事にございますか?」
何人もの女官の中で、長を務めている者が一歩前に出てニッコリと微笑んだ
「あぁ、クレムまで書簡を届けに行ってくる」
「クレムとは…今戦の真っ最中と聞きましたが・・・」
父の言葉を聞いて、心配そうに眉を下げた女官長
その姿を見て、安心させる様に微笑む
「大丈夫。遠回りをして安全な経路で向かう予定だから」
「そうは言いますけれど――お二人だけでしょう? 危のうございますわ」
俺達の後ろに誰もついていない所を見て、更に眉を下げる女官長
後ろに控えている女官達も心配そうに俺達を見つめている



