少し離れた場所にある、その美しい建物を見つめていると、一瞬どこからともなく強い風が吹いた 辺りの花を巻き上げて目の前に花が舞ったのを見て、反射的に腕で目元を覆った すると、春の訪れを感じさせる温かい風が 頬を優しく撫でていった 「風までも柔らかいんだな。この国は」 懐かしい肌触りを感じて、思わず小さく呟いた そして、覆っていた腕を下げた時 ――俺は、息をするのも忘れた 目の前の建物の中に立つ 1人の女性 真っ白な柱に手をついて 俯いている