My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ



小さな花を片手に、無心で足を前に進める



徐々に強くなる香り

咽かえる様な、甘い甘い――花の香り



アーチを描いた廊下を抜け

風が吹く方へ、ただただ足を進める



すると、目の前に現れたのは、小さな螺旋階段


窓のない、石畳の階段が上へと続いている

人1人入る事しかできない様な、そんな階段



一瞬躊躇したが、再び白い花が一つ足元に舞い降りてきて、おもむろにソレを拾い上げた



間違いない――この先から落ちてきた花だ



手元にあった花と、拾い上げた花が同じ事を確認して再び足を前に進める



元々好奇心の塊の様な俺

だけど、今回はまるで自分の足が自分の者じゃない様に軽かった

まるで体が、この先に行く事を求めている様だった