My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ




「では―――何故父上があの様な姿なのに、そなたは無傷なのだ?」




そう言って、ゆっくりと俺の周りを歩き始めたホリス

まるで俺を挑発する様なその行動に、胸の奥がチリチリと焼ける



音も無く歩き、再び俺の目の前で足を止めたホリス

そして、真っ直ぐに前を見つめる俺の瞳をじっと見つめた




「答えよ」




美しい、銀の髪を風になびかせたまま

俺の目を捕らえて離さないホリス

その瞳を見つめたまま、俺も言葉を落とす




「父は強き戦士だ」

「――」

「だが、無敵の戦士はこの世にはいない」




真っ直ぐにホリスの瞳を見つめながら

揺らがない様にそう言う