つい最近まで、自分が戦に出ていた事すら遠い昔に感じる
そんな事を思いながら、小さく息を吐いた
すると
「そんなに暇なのであれば、剣の腕を磨いたらどうだ?」
不意に透き通った声が背を叩いた
驚いて後ろを振り向くと、初めて見た時と同じ姿で、こちらを見下ろすホリスがそこにいた
肩に美しい弓矢がかけられている
「――失礼。腰に付けている物が目に入ったのでな」
何も言わない俺に、ふと目線を俺の腰にかかる剣に向けるホリス
そして、俺の言葉を待つ前に言葉を続けた
「そなた――ヴェントスでは、どの様な働きをしていた」
向き直った俺に、どこか温度の感じられない話し方で言葉を落とすホリス
ゆっくり俺に近づいてきて、その美しい瞳で俺を見つめた
「我が王国では、守護を任されていた」
そんなホリスに、同じ様に表情を崩さずにそう返す
すると、ピクリと眉を微かに動かしたホリス
しかし、その冷たい表情は変わる事なく俺に注がれる



