「では、せっかくなのでご忠告させていただきます」
ゴホンと改まって、場の空気を変えた彼女に向き直る
「――言葉、気にしなくていいって」
「これが、普通なのです」
首を傾げた俺に、クスッと笑ってからそう言ったグレイス
それでも、俺との間にあった小さな壁は無くなった気がする
「決して、南の塔には近づいてはなりません」
「南の塔?」
「王家が住まわれている場所です」
「なるほどね」
顎先に手を当てて、そう言う俺を見て
訝しげな表情で、首を傾げたグレイス
その仕草に気づいて
俺もグレイスと同じように首を傾げる



